2012年3月28日水曜日

Human Recovery Project Presents Live and More



2011年3月11日 東日本大震災が発生してから約一年
緊急的支援の時期は脱し、復興の兆しは見えつつあるかもしれないが各被災地ではまだ様々な問題を抱えています。
そして再び災害が起きた時に活かさなければいけない教訓も沢山あります。
そこでHuman Recovery Projectとして我々が被災地で感じた事を音楽での表現や写真、映像を用いてのこれまでの活動報告、そして時間の経過と共に薄れさせてはいけない意識を共有出来るようなイベントを企画します。
HRP作成の資料を配布予定しています。
休めるスペースも確保する予定ですので是非来て頂ければと思います。

4/14(土)18:00~
吉祥寺GOK SOUND
1,000yen

PINPRICK PUNISHMENT
THE HAPPENING
ENCROACHED
UNARM
AVFALL
MIDDLE

2012年3月1日木曜日

南相馬の子供達へのマスク支給報告

先月24日をもって、南相馬市内の全ての幼稚園、保育園、小学校、中学校、自立支援施設へのマスク支給を完了しました。
このプランが立ち上がった時点で、福島在住の方を含め、多くの方から支援や協力の申し出がありました。
しかしながら、配布を急がねばならないという時期的な事情と、膨大な規模のプロジェクトであるにも関わらず、我々は少人数の限られた力量しか持たない集団であるが故に、現地に拠点を設け行動するのは困難であると判断し、都内にて仕分け配送作業を済ませ、自立支援施設や一部の幼稚園保育園を除き、各校に直接配送させていただきました。
多くの皆さんの協力の申し出については、今回、お気持ちをありがたく受け取らせていただきます。
またこのようなアクションを展開する際には、あらためてお力を貸していただきたいと思いますので、その際はよろしくお願いいたします。
今回送ったマスクについては、郵船商事株式会社(e-shizai.jp)様から全面的な協力をいただきました。限られた予算の中でこの膨大なプロジェクトを成し遂げられたのも、このような協力があってこその事です。
10歳以上の子供にはN99基準のマスクを用意。
10歳未満の子供については遮蔽性の強いものを常時着用するのは危険と判断し、N95基準相当のサージカルマスクを用意しました。












今回、各校に発送にするにあたって、事前仕分けについては郵船商事さんの倉庫内で作業をさせていただきました。
郵船商事の担当である滝沢さん自身も仕分け作業に協力していただき、大変作業がスムーズに進みました。本当にありがたい限りです。


←この仕分け用ネームタグも滝沢さんが用意してくれました。




中学生、小学校5,6年生向けマスク(FSC-F-99E) 1ケース1200枚(400セット) 1セット=3枚 配布詳細

学校名 学童数 支給枚数 必要パッケージ数
原町第一中学校 293 14650 12ケースと134セット(13ケース)
原町第二中学校 184 9200 7ケースと267セット(8ケース)
原町第三中学校 87 4350 3ケースと250セット(4ケース)
石神中学校 196 9800 8ケースと67セット(9ケース)
鹿島中学校 299 14950 12ケースと184セット(13ケース)
小高中学校 101 5050 4ケースと84セット(5ケース)
       
原町第一小学校 109 5450 4ケースと217セット
原町第二小学校 55 2750 2ケースと117セット
原町第三小学校 81 4050 3ケースと150セット
高平小学校 44 2200 1ケースと334セット
大甕小学校 39 1950 1ケースと250セット
太田小学校 30 1500 1ケースと100セット
石神第一小学校 32 1600 1ケースと134セット
石神第二小学校 76 3800 3ケースと67セット
鹿島小学校 91 4550 3ケースと317セット
真野小学校 18 900 300セット
八沢小学校 33 1650 1ケースと150セット
上真野小学校 40 2000 1ケースと267セット
小高小学校 33 1650 1ケースと150セット
福浦小学校 14 700 234セット
金房小学校 8 400 134セット
鳩原小学校 8 400 134セット
合計 93550枚 83ケース(99600枚)


幼児・小学校1〜4年生向けマスク(サージカル) 1ケース2400枚(800セット) 1セット=3枚 配布詳細

学校名 学童数 支給枚数 必要パッケージ数

     
原町第一小学校 187 9350 4ケース
原町第二小学校 106 5300 2ケースと167セット
原町第三小学校 134 6700 2ケースと634セット
高平小学校 36 1800 600セット
大甕小学校 56 2800 1ケースと134セット
太田小学校 31 1550 517セット
石神第一小学校 56 2800 1ケースと134セット
石神第二小学校 132 6600 2ケースと600セット
鹿島小学校 166 8300 3ケースと367セット
真野小学校 26 1300 434セット
八沢小学校 53 2650 1ケースと84セット
上真野小学校 74 3700 1ケースと434セット
小高小学校 50 2500 1ケースと34セット
福浦小学校 27 1350 450セット
金房小学校 20 1000 334セット
鳩原小学校 12 600 200セット
かしま保育園 145 7250 3ケースと17セット
かみまの保育園 47 2350 1ケース
原町聖愛保育園 48 2400 1ケース
北町保育所 36 1800 600セット
よつば保育園 72 3600 1ケースと400セット
よつば乳児西町園 15 750 250セット
鹿島幼稚園 99 4950 2ケースと50セット
上真野幼稚園 43 2150 1ケース
八沢幼稚園 45 2250 1ケース
青葉幼稚園 52 2600 1ケースと67セット
原町みなみ幼稚園 35 1750 584セット
さゆり幼稚園 16 800 267セット
大甕幼稚園 34 1700 567セット
高平幼稚園 22 1100 367セット

93750枚 43ケース
自立支援施設4箇所については年齢分布など人員状況が流動的だったため、現地に赴き直接確認して配布。
合計、約20万枚の膨大な量になりました。




マスクと一緒に生徒児童向けメッセージも同封しました。

尚、今回のアクションについては、市長室を通じて行政に受け入れていただき、南相馬市教育委員会から全ての教育施設に通達を出していただきました。
先月、教育委員会にも伺い、教育長に受け入れに対するお礼をすると共に、花粉を含む放射線粉塵からの防御のため、一定期間の着用を行政側から指導するよう、再度お願いしてきました。

また、配布先の各学校に対しても、念のため以下の通りの内容の文書をマスクパッケージに同封し、学校側からの指導を重ね重ねお願いしました。



「教育委員会よりお話しが行っているとは思いますが、私共からのささやかな支援としまして、南相馬市内の15歳以下の子供達にマスクを送らせていただきました。
各自51枚(17パッケージ)ずつ配布くださるよう、お願いいたします。

やや遅くなってしまいましたが、インフルエンザウイルスからの防御のため、活用していただければと思います。

そして今年は原子力発電所の事故により、念のため例年より花粉について警戒すべきと各種専門機関から声が上がっているようですので、花粉の飛散期間中いっぱいは着用するようご指導いただければ幸いです。

では、ご面倒とは思いますが、個別配布と着用指導の方、よろしくお願いいたします。」


何故今回マスク支援に踏み出すかに至った経緯について説明しなければなりません。
我々に寄せられている支援カンパの半数強が反原発関連から寄せられています。
被災地の復旧・復興に向けての想いと、原子力発電を無くしたいという想いの二つに応えるために、原発災害被災地域に於いて最も憂慮される子供の内部被曝からの防御支援という方向に至りました。
専門家からは意見の分かれるところですが、今年の花粉については放射能の影響を警戒すべきであるという声もあります。
また、つい先頃テレビでも取り上げられた通り、高放射性物質の粉塵が見つかるなど、住民の不安は高まっています。
しかしながら、国の対応が曖昧であるばかりに、多くの自治体は放射能対策に手を拱いており、住民に対して具体的な対策を打ち出せないのが現状です。そういった背景を受けて、一部地域では子供達がマスクを付けにくい状況(虐められる、臆病者扱いされるなど)もあるという話も伝わってきています。
そのような状況下に於いて、ただマスクを配るだけというのでは、根本的な解決にはなりません。
以前から宣言している通り、我々は行政の「尻ぬぐい」を買って出たり「上から施しを与える」などの余裕はありません。
マスクがあっても付けにくいという状況を打破する事。
即ち、行政からきちんと通達が出て、学校を通じて全ての生徒児童にマスク装着を指導し「汚染物質からの防御の日常化」といった環境を作り出す事が最大の目的でした。
汚染物質からの物理的な防御効果にも期待したいのですが、そういった健康被害の不安を抱えていた子供や保護者の方のメンタル的な緩和に少しでも寄与できればというのが一番の思いです。

そして一方で、南相馬市に向けられた、風評とも言える非常に誤った認識を払拭していただきたいという事も訴えたいのです。
ご存じの通り、南相馬市は現在でも一部地域が立ち入り制限、若しくは居住制限されている地帯があります。
情報が錯綜し正確な実態が伝えられないが為に、未だにまるで市全体が酷く汚染されているかのように思い込まれている方も決して少なくは無いようですが、南相馬の殆どの地域に於いて空間線量は東京近郊東部地域と同レベルです。
千葉県柏市では高いところで0.24μSv/hを我々も計測していますが、南相馬の中心地原町でも高くてもこの程度のレベルで、現在では居住地域の多くで0.2μSv/hを下回っています。
学校や幼稚園保育園に普通に子供が通っているだけでなく、普通にコンビニやファミレスも営業しています。
この動画をご覧ください。国道沿いの町並みは、埼玉や千葉あたりと変わりませんよ。あたりまえの暮らしがここにもちゃんと存在しているのです。


一方で、幼稚園の軒先にも放射線量計が設置されるなど、関東近郊では決して見る事の出来ない、非常にシビアな対策も南相馬市では行われています。

この線量は何も福島まで行かなくとも、関東近郊東部に足を運べば日常的に計測できるレベルです。しかしながら、子供の内部被曝を防ぐために、ホットスポットやマイクロスポットへの警戒を怠るわけにはいかないのが実情です。
また、警戒区域周辺や津波被害区域に於いては、依然として厳しい生活を強いられている方もいらっしゃいます。

マスク支援を受けて、各学校や個人様からのお便りが続々届いています。
原町の保育園から届いた、その一部を紹介します。
「震災から1年になろうとしていますが、放射性物質による汚染は、子供達の生活を一変させました。
散歩などが全く出来ず、園でも戸外活動を制限させざるを得ない状況です。現在はマスクをつけて30分以内の園庭での遊びのみをしています。しかし、土や小枝、小石、草花等は一切触らせていません。それでも外での遊びを喜び、食欲もわくようです。
厳しい環境は続きますが、この遊びは、続けて提供できるよう工夫していきたいと考えています。」

都心近郊の大都市と大して変わらない放射線環境でありながら、原発との距離が近いために常に被曝リスクを警戒しなければならない。
マスクを付けて外で遊べるようになっても、土にすら触れないなんて・・・
支援を喜んでいただいたのに、なんともやりきれない気持ちです。

我々のマスク支援は、こんな小さな集団が一自治体の行政を動かしたという面に於いて、それなりの意味があったと思います。
他の自治体で頑張っている方々からも、良き前例として励みになるというお言葉もいただきました。
これで満足せずに更に多くの自治体、そして県や国へと拡散していけるよう、多くの皆さんとの更なる協力関係を築いていきたいと考えます。

そして、なによりも国による原子力政策の曖昧さが全ての元凶であるのは明らかです。

被災地域における実効的かつ有効な放射能対策を直ちに施行するには、原子力発電からの撤退という明確な方針が何よりも必要です。
被災地への支援の継続と共に、都内に住む我々は今後とも断固として国に原発即時全廃を求めていきます。

我々が呼びかけるアクションにできるだけ足を運んください。
そして、引き続き圧倒的なカンパをお願いいたします。

これからも皆様の力が必要です。よろしくお願いいたします。

Human Recovery Project 穴水正彦